舞台ソロ 皆さんこんにちは。デジモンヘッドライン編集部です。本日(2017年8月5日(土))から『超進化ステージ「デジモンアドベンチャー tri.」~8月1日の冒険~』が公演開始となりました。編集部も、共に観劇してくれる同士3人と共に初日の初回分を観まして、感想を記しておきたいと思った次第です。今回はネタバレ無しで短めに、観に行くか悩んでいる人への指標となるように書きますので、ご参考にどうぞ。



その1、“違和感”を打ち消すキャラクター造詣
 まずはじめに、デジモンアドベンチャー tri.の舞台化と聞いて身構えた方は多かったかと思います。デジモンとしてはチャレンジした事のないジャンルである舞台、生身の人間がアニメキャラを演じるというのは、昨今の「漫画原作の実写映画化」に該当するように、決して当たりの多いチャレンジではないように感じるものです。
 ですが、本作においてその懸念は不要でしょう。まずデジモンたち。彼らはぬいぐるみを複数の糸で操るパペットで登場するのですが、その動きが緻密でとても可愛い。声はアニメそのままなので、愛くるしい動きも相まってすぐに違和感なく受け止めることが出来るでしょう。パペットなので操演者がすぐ横にいるのですが、「そういうものだ」という受け入れ一つで割と違和感なく観ることができます。冒頭、長めの尺を使って操演者がアグモンを動かす演出を魅せてくれますので、そこで受け入れやすく導入してくれるのもポイントです。
 そして、選ばれし子どもたち。彼らも役者陣が熱の入った演技を魅せてくれますので、不安に思う必要はありません。勿論彼らは新たな役者が演じるために、声がアニメと違ったりといった違和感はあります。これを受け入れる必要はありますが、自然な演技を見ていればすぐに彼らが太一だ、空だと納得できるはずです。
 さらに、敵として登場するエテモン。演じるオレノグラフィティさんの怪演も相まって、魅力的に仕上がっています。元々エテモンというキャラクターが「シリアス」も「ギャグ」も踏み込んでいける性格なので、この上なく舞台を盛り上げる良い役割になっていました。デジモンアドベンチャーに登場したあのエテモンなのか、そして再び太一たちの前に現れた目的とは……? 是非注目してご覧下さい。

その2、リスペクトを多分に含んだシナリオ。これが見たかった「tri.」だ
 本作の目玉と言えるのが、何といってもそのシナリオです。劇作家の谷賢一さんが書かれた本作の脚本は、単体の作品として素晴らしいものでした。
 物語は、tri.の「本編よりも少し後」から始まります。いよいよ迫る記念日「8月1日」に向けて、空考案でキャンプをすることになった太一たち。デジモンアドベンチャー、02、そしてtri.での戦いの日々を越え、少し大人になった彼らは、懐かしのキャンプ地で大切なものを見つけることになります。
 シナリオ中では、デジモンアドベンチャーや02、そして事件解決後のtri.の思い出を話したり、それをきっかけに様々な感情を描き出していきます。この展開がとにかく楽しく、そして少しホロリと来るもので、公演時間の間で太一たちの中に大きな「成長」を残す、単体の青春活劇作品として面白いものに。
 特に太一に焦点を当てたシナリオとなった本作ですが、全員の葛藤がしっかりと描きこまれており、何より02最終回の「あのシーン」へと繋がる重要な、子ども達の気持ちが描かれています。シリーズのファンには必見のドラマなので、これは非常に嬉しい展開でした。
 個人的に、此処まで第4章まで公開されたtri.本編には様々な不満があったのですが、本作にはその不満を感じませんでした。キャンプに行くという起、キャンプ地で起きる承、大きな事件が起きる転、そして観劇者の気持ちを揺さぶるキャラクターの成長を描いた結、とてもスッキリと見られる群像劇は、まるで楽しい劇場版作品を観たような爽快感でした。

その3、舞台としては珍しい「映像」を盛り込んだ演出の妙
 本作のもう一つの見所となるのが、その演出の数々。進化シーンでtri.本編の進化バンクが映像として流されるだけではなく、過去を回想するシーンではデジモンアドベンチャーのシーンが実際に使用されており、懐かしい気持ちに浸ることが出来ます。
 また、先ほどキャラクターの項でも記載したとおり、台詞などでも随所にデジモンアドベンチャーや02の事が語られており、映像演出も相まって「ファンのための」非常に楽しいステージとなっていました。
 後半にはド迫力の進化&バトルが展開しますが、進化したデジモンたちがどのように表現されるのかも…皆さん楽しみに観ていただきたいと思います。

その4、まとめ
 少し短めとなりましたが、ネタバレ無しなのでご容赦下さい。
 本作は、デジモンという大よそ舞台化に向かない題材に対し、原作を汲み取り、物語を広げ、楽しめる一つの作品として提示された理想的な形のメディアミックスだったと個人的に賞賛しています。 
 勿論、何が何でも舞台は嫌だ、アニメのキャラを現実の人間が演じるのは嫌だという声もあるかとは思いますが、少なくともデジモンアドベンチャーシリーズ、そして本編であるtri.をご覧になっている方であれば楽しめる、素敵な物語です。
 tri.本編以上に細かく描かれた人間模様と太一の葛藤、機会があれば是非劇場でご覧下さい。
 なお、本作のDVDが12月2日(土)発売予定とのこと。気になるけれど劇場で見られない方も、是非お楽しみに。